虚弱子牛症候群への輸血

この冬は輸血が少なかったように思います。

点滴するような下痢も、重症肺炎も

例年よりは少ない冬でした。

そんな中で

生後直後から起立不能の和牛子牛(安福久の雌=百万円コース‼︎)

僕が往診したたのは生後4日目ですが、未だ立ち上がれず。

体は大きいが胸腺が小さく、恐らく虚弱子牛症候群(WCS)でしょう。

iSTAT(ポータブル簡易血液検査機)でも低血糖です。

TPやコレステロール値もわかるとすごくいいんですけどね。

輸血が唯一の治療法ではありませんが

この農家は頻繁に往診できる距離ではなく

点滴も遅れたので輸血することに。

話は逸れますが、誠に恥ずかしながら

輸血用のラインを使うという発想を一昨年まで持ち合わせていませんでした。

普通の輸液セットを使用し

固まってしまうから一気にボーラスで入れてしまうという

牛にとって負担の大きいやり方をしていました。

なんと愚かな。

それで死ぬ子牛はいなかったものの、確実に負担を強いていたはずです。

輸血について詳細は過去の記事をご参照ください。

これまで数十頭の輸血をしていますが

やはりクロスマッチテストはせず特に問題ありません。

輸血セットで輸血すると固まらず快適ですね!(当たり前)

今回は350mlを20分ほどで静注
(20滴1mlなら5滴/秒くらいですね)

ペニシリン2ml筋注とデキサメサゾン2ml静注(輸血に混合)

フルスルチアミン50mlも静注

アミノ酸製剤200mlは皮下注

また補助栄養として2日間ミルクに砂糖10g添加してもらいました。
(江戸時代あたりまでは砂糖は病人用の希少な食材でした)

治療翌日には立たなかったものの

2日後には自立し、元気にミルクを欲しがるように!

すっかり元気になってよかったね

vetterra について

Japanese veterinarian specializing in dairy cattle and beef cattle 栃木の牛の獣医師です。
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